1980年代のある団地を舞台に団地の中だけで生きていくことを決めた少年の成長と、寂れていく団地の様子を描いた作品。団地で暮らしたことはないが、ノスタルジーを強く感じる「廃れていく団地」という設定がすごく気になっていた作品。10年、20年という長めの期間を描くタイプの話にも惹かれた。

濱田岳演じる主人公は中学に通わずに、団地の中で自主トレや通信教育、日課の団地パトロールを日課としながら成長していく。毎年、引っ越していく友人達を見送りながらも、団地内で仕事に就き、友人や恋人との日々が描かれる。彼は団地という限定されたエリアの中だけで人生を完結させることに迷いがなく、それはそれなりに順調に進む。この辺りの隣の部屋の女の子とのベランダ越しの会話や、同窓会での初恋の人との再会からの・・・など思春期感が凄まじい。ここまではザッツ青春ムービー。

しかし中盤でそもそもの「何故、彼は団地から出ないのか?」という点が語られ、映画は大きく展開していく。出ないのではなく過去のある出来事から出られないという事実。そしてそれと合わせて団地の過疎化、老朽化は進み、彼の日常を支えていた人たちが段々いなくなっていく。恋人との別れは団地縛りがあれば納得ですが、ケーキ屋の師匠や、親友の退場の仕方がちょっとかわいそう。ともかく彼の世界は急速に狭まっていくわけです。団地の方も住人が減少して老人や外国人を受け入れるようになり、雰囲気が一転します。実際にそういう所があるんだろうなぁと印象に残りました。終盤の外国人居住者とのエピソードは彼のトレーニングが活きる場面として必要だったのかもしれませんが、個人的には蛇足な気もしました。

ラストの展開は彼の未来をある程度示唆できるものだったので良いかと思いますが、団地のその後はどうなっていくのか、ちょっと気になりました。あと最初から107人という卒業生の数字を出しているので、最後は彼らの現在の姿とか、何か関連づける演出があったら嬉しかったかも。

特殊な設定なのでコメディっぽい印象がありましたが、中盤以降はややシリアスな展開もあり、なかなか面白かったです。あとは倉科カナがかわいい。

 

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